旅哲学トークとは?世の中には旅行に関する情報があふれています。いかにしてマイルをためるか、上級会員になるかといった話題から高級ラグジュアリー体験記、はたまた、世界1周ブロク、その共通点として、やはり、旅行が嫌いな人はいないんだと思います。そのなかで、フューチャーブリッジ社として旅行に関する情報を提供したいと思いました。で、どんな情報を提供するか。それは私、長橋が面白いと思うコンテンツを提供することです。インバウンド向けトラベルサイトJapanJaponを運営している相部とは大学の同期でもう20年以上の付き合いですが、彼の旅行に対する知識、経験、そして、「旅哲学」というべき旅行に対する姿勢は余人を持って代えがたく、まさに、私が面白いと思うコンテンツでもあります。というわけで、不定期ではありますが、私が彼にインタビューするという形式で、「旅哲学」を少しでも味わっていただければと思います。
長橋
まず、エアライン事情から。最近、気になる動きはある?
相部
ユーザの反応が速いからマイラーのブログとか見てるのよ。で、その8割はスタアラ系※ね。ANA系がメインで、JALはほとんどない。
※スタアラ:スターアライアンス 28航空会社(2018年12月時点)からなる世界最大の航空会社の連合
長橋
なぜ、スタアラ系が多いの?
相部
カバーしている地域が広いからだろうね。スタアラは、日本だとANA、アメリカだとユナイテッド、アジアだとSQ,タイ航空、エバー航空、ニュージーランド航空。ヨーロッパだと、ルフトハンザ、スイス航空、あと、スカンジナビア航空もね。スカンジナビア航空は、成田からコペンハーゲンに飛んでる。スタアラはグループ内でのマイル発券もしやすい。意外とこれが侮れない。JAL系のワンワールドは、加盟会社が少ないしアジアが弱いね、キャセイ、マレーシア、中東系でカタールくらい。プラスJALはWebが使いづらい。
長橋
今回、ANAといえば、最近、エコからプレエコアップグレードやめました※。これはANA系の上級会員が増えてるから?
相部
もともとさ、ダイヤモンドだろうがSFCだろうが、エコノミーからプレエコに無料アップグレードはやりすぎなのよ。ダイヤモンドならともかく、ヒラのSFCにその特典はやりすぎてた。だから是正される予想は容易だった。で、前からマイルでプレエコ取れないのは不満があったし、時間の問題だった。今回は当然の措置だと思うよ。ANAは最近ちょいちょいルール変えてるしね。
※2018年11月 ANAは、「プレミアムエコノミーへのご変更」サービス終了のお知らせとして上級会員(ダイヤモンドサービス」「プラチナサービス」メンバー、スーパーフライヤーズ会員)に向けに提供しちえるプレミアムエコノミー変更サービスを終了。あわせて、プレミアムエコノミー料金としてNクラス(上級会員へのポイントとなるプレミアムポイント(PP)積算70%、従来は100%)を導入。ネット上では改悪とされANA修行僧系に衝撃が走った。
長橋
ANAはプレエコ料金にNクラスを導入してPPも減らしたね。となると、ANAは修行系利用者を減らしたい?
相部
それはないだろうな。あたりまえなんだけど、ANAにしてもJALにしても、基本は乗ってくれる人を大事にする。で、修行だろうが何だろうが乗ってくれるお客さんは重要だし、むしろ修行って大きな市場だと思うよ。ただ、PPの見直しはしたかったんだと思う。なにせすぐWebで攻略法出ちゃうからね。
相部
安く乗りたいんだったらLCCに乗ればいい。
そいやさ、先週沖縄いったんだけど、那覇空港もLCC多かったね。日本のピーチ、バニラにくわえて、韓国系のティーウェイ※などなど、大阪や札幌もそうなんだけどね、もうあちこちからのLCCからのインバウンドで沖縄がいっぱいなわけよ。
そいやさ、先週沖縄いったんだけど、那覇空港もLCC多かったね。日本のピーチ、バニラにくわえて、韓国系のティーウェイ※などなど、大阪や札幌もそうなんだけどね、もうあちこちからのLCCからのインバウンドで沖縄がいっぱいなわけよ。
※ティーウェイ航空 – T’way Air:韓国の格安航空会社。https://www.twayair.com/
長橋
沖縄にLCCでインバウンド旅行者何するの?DFSで免税店めぐり?
相部
いや違うんだよ。いわゆる免税店というより、基本は日本のドラッグストア、コンビニ、あるいは、ドンキ、量販店だね。もちろん、韓国、東南アジア、中国にもコンビニあるけど、日本とは全然違う。コンビニの基本はサプライチェーンでしょ。サプライチェーンがあるから、安くておいしいものを店で売れる。以前、最近まで高知にセブンイレブンがなかったのもサプライチェーンができてなかったから。
相部
日本のコンビニはすごいよ。おにぎり、パン、ドリンク、どれも安くておいしい。それに食費も安くあげられるし。はやくて、やすくて、うまくて、そして、飽きない、これは日本でないとムリ。たとえば、台湾なんかでも、台湾人は毎日スタンドでお粥を食べるかもしれないけど、観光客は毎日食べるわけではないでしょ。だけど、コンビニは毎日食べても飽きない。もちろんコンビニで全部まかなうわけじゃないから、飲食店で外国人の多い少ないで、情報量の多い少ないが見えてくる。
長橋
ちなみにこうした海外旅行者はどうやって情報収集してるの?
相部
これは日本人と違うところだね。日本人は旅行してもあまりインスタ、Facebookに投稿しない。他と比べて少ないし、フレッシュじゃないものも多い。だけど、日本に来る外国人は、これでもかってくらいに旅行のコンテンツをSNSにあげる。で、それをみて、日本に行きたいとおもって、日本にいくわけ。同じように他の海外へも。
長橋
SNSはやっぱりインスタ・Facebook?
相部
これもあるけど、国によって違うね。たとえば、タイではみんな「パンティブ」※ をみてる。あと、中国人は文字の文化だから文字が好きだね。アプリでは、「マァファンウォー」※※ が旅行特化のアプリとしてイケてる。
※ Pantip: https://pantip.com/
※※ 蚂蜂窝 : https://m.mafengwo.cn/
相部
いずれにしても、みんな書きたいこと一杯あるんだよ。旅行を自慢したい。そして評価されたい。地下鉄の切符の買い方から、コンビニ・量販店のおすすめまで、各国の日本トラベルコンテンツがいっぱい溜まってきている。やっぱり、みんなどん欲だから損はしたくないんだよね。そうした積み重ねが、いまの日本へのインバウンドの積み上げになってるし、日本人が発信しない分、差が大きくなっている。つまり、ユーザがどんどん集合知で賢くなってきてるのよね。供給側がむしろそれを追っかけるような構図と言えなくもない。みんなマニュアルが欲しいのよ。ここにいったらこうした体験ができる。ここにいったらインスタ映えがする写真が撮れる。先人の真似をしたら楽ということ。ネットとLCCのおかげで、世界中で旅行がイージーになってる。
長橋
インバウンドを問わず、ネットで旅行のやり方がかわった?
相部
そうね。たとえば、20年前だと、飛行機予約しても、乗るためにはリコンファームがあった。めんどくさいけど、電話してた笑。搭乗日の前に航空会社に連絡しないと、飛行機に乗れなかったね。それにくらべたら、いまは格段にアクセスがよくなったね。Webでなんでも手配できる。
相部
旅行が嫌いな人は世の中にはそんなにいないわけよ。旅行が嫌いな人なんて100人に5人くらいじゃないの。みんな旅行にいきたいと思ってるんだよ。でも、旅行にいくからには失敗したくない。カネと時間があれば、失敗する確率は減るけど、カネも時間も限られている。失敗したくないだったら、東横インでも全然いいんだよ。最近、オレ、地方に行った時、東横イン使うことが増えたんだけど、全然オッケー。全国どこでも同じクオリティがキープされているし、値段もそこそこ安い。やっぱり、旅行に求めるポイントって失敗しない快適さなんだよね。ホテルなら快適なスペース、キレイさ、つかいやすさを求める。でも人によって宿選びの基準は違うのよね。ひたすら安いところ、またはビジネスホテルはイヤだとか。出張かプライベートかにもよるし、同行者にもよるだろうし。
相部
やっぱね、いくらSNSの時代になろうが、いい情報はネットにないわけよ。あくまで参考よね。行ってみないとわからない。もちろん、マニュアル通りにやれば、それなりのことができるけどさ。むしろ、マニュアルではなくて、自分のスタイルを確立している人は強いね。レストランとかバーを選ぶのも、その人の個性が出るじゃない。同じだと思うよ。
長橋
どうやって自分のスタイルを見つける?
相部
いろいろあるけど、事前に調べることは大事。もちろん、いい情報はネットにないし、FlyersTalk※でも95%以上は意味のない情報だしね。セール時期や路線がズレてたら何の意味もない。でもね、意味のない情報でもその持つ意味を考えることは大事なわけ。たとえば、ANAは、日本の航空会社で唯一メキシコシティのフライトあるけど、メキシコには日系企業がたくさんいるから。かつてはJALが飛ばしてたんだけどね。JALにもテキサスのダラスフォートワース便があるけど、これは日系大手の米国拠点があるから。アメリカンのハブであるしね。今回、ANAはウィーン便を新設するけど、ウィーンは西ヨーロッパだけでなく、東ヨーロッパにも近くて乗り継ぎ需要がそこそこある。オーストリア航空が成田線を復活させるしね。
※FlyersTalk:世界最大級の航空旅行に関する掲示板 https://www.flyertalk.com/
相部
JAL・ANAに限らず航空会社は路線を新設する際は、どういうユーザが利用するかをきちんと考えている。こうしたマトリックスを念頭に置きながら、旅行の計画を練る、便利になって行きやすくなる、値段が安くなる可能性があるのはどこの路線や会社か。まあ、そんな細かいことなんてどうでもいいんだけどね笑。必要があるから飛行機に乗るのか、行きたいから旅行をするのか。計画を立てる、目的地を決めるのに、自分の基準・考えを持つ。いろんなとこに行ったり、何度も行ったりしてる人は、何か持ってる。これ上級テクニックね笑
長橋
なるほど~。今日は、これでお開きですが、次回もよろしくです。
編集後記旅哲学トーク第1回目は、ANAのプレエコの話、インバウンドの話、そして、旅のスタイルの話と多岐にわたりました。とくに、旅行のスタイルを確立するというのは、時間とおカネを最大限活用するには必要だと思います。近いうちに次回も公開したいと思います。今後取り上げてほしいテーマ、疑問、などありましたら、ご遠慮なく問い合わせフォームからお問い合わせください。